作品名

街へ開いた住宅:巣鴨の二世帯住宅

設計

スタジオ建築計画

受賞

1995 IES/Award of Merit

所在地

東京 関東地方

竣工

1994年

カテゴリ

個人住宅

概要

この住宅では、住宅と街(地域)、親世帯と子世帯の関係を光でどうつくるか、高齢者のための明るさ環境をどうつくるかの2つをテーマとした。

親夫婦がこの地に住みはじめて45年、近所には古くからの馴染みも多く付き合いも盛んだ。通りに面した玄関ホールは天井への間接照明と足元灯がそのまま外から見える。その両脇の階段室のあかりが道行く人を照らす。中庭を挟んで向かい合う親世帯と子世帯も、あかりが点いたり消えたりするのを見てそれぞれの生活を身近に感じ合う。プライバシーを保ちながら、中で生活する人の気配が感じられる光によって、住んでいる人と街との開かれた関係が生まれる。

70代の親夫婦だけでなく、視力の衰え始めた40代後半の子夫婦にとっても、10年後、20年後に向けた明るさ環境が必要となる。初めて訪れた人は誰もが、明るく柔らかい雰囲気であることに驚く。この家での居間から洗面所に至るまでのかなりの部分に、電球色の蛍光灯を使っている。壁や天井への間接光で部屋全体の明るさを得、新聞を読んだりする場所には部分的に直接光で明るさを補っている。

照明を全部点けて明るくすると、大きなガラス面に映り込んで部屋が倍の広さに感じられる。照明を消すと朝日や夕焼け、月の満ち欠けが見える。これ以上の贅沢は、ない。