作品名

聖路加国際病院

設計

日建設計

受賞

所在地

東京 関東地方

竣工

1992年

カテゴリ

病院・福祉施設

概要

初めて病院を訪れる人にとって、広い病院の中は迷路と同じだ。各階に分かれた専門外来の窓口を探すにも、勝手が分からずにうろうろすることが多い。

今回の照明計画では、第一に「空間の形と光で記憶出来る場所づくり」を考えた。まずメイン通路は、他の場所とは違う天井の形にして自分の位置が分かるようにした。東西の出入口を結ぶ通路はボールト型天井、通路の真ん中にあるエレベーター前はクロスボールト型天井として、ウォールブラケットからの間接照明で、やわらかなトーンのものになっている。また、待合スペースの天井には十字架の形の折り上げ天井を設けて天井への間接照明とし、場所の印象を強くした。

第二は、高齢者も充分読書出来る明るさの確保である。待合部分には、経済性が優れ、効率がよく、かつ温かみを感じさせる、3000K前後の電球色蛍光灯と暖色メタルハライドランプを使用した。2、3階にある専門外来の待合ロビー部分には、ピンホール型の暖色70Wメタルハライドランプで照度を確保すると共に、すぐ脇をストレッチャーに乗せられた患者が仰向けに寝ながら通っても眩しくないようにした。また、受付カウンター側の壁面を蛍光灯のウォール・ウォッシャーで照明して、視覚的な明るさを取ると同時に窓口が誰にもはっきりと分かるようにした。

これらの照明計画は、落ち着きのある温かい光によって患者の緊張を大幅に滅らすことが出来たと同時に、空間の形と光で場所を記憶させることによって、視力が弱った高齢の患者が表示を読まなくても行き先が分かるようにすることができた。